「葬送基本法」制定に向けて

厚労省は自然葬へ明確な判断、方針を示すべき

               大山健児(本会理事、弁護士)

 朝日新聞2008年7月10日付のオピニオン欄に当会の安田睦彦会長のオピニオンが7段にわたって紹介されている。既にお読みいただいた方も多いと思うが、未読の会員の方にお伝えする。

 会長は同欄で、自然葬を公認する具体的な法律が存在しないのは、法の不備であり、従来の墓埋法を超えた自然葬の法的公認を主張しておられる。すなわち葬送基本法の制定の要求である。

 考えてみれば当然のことで、現在の墓埋法は、遺骨が墓地に埋められることを前提とした規定であるのに対し、われわれの主張する自然葬は、墓そのものを必要としないのだから発想が根本的に異なる。厚労省が「自然葬は墓埋法の対象外」と逃げるのは、ある意味で当然かもしれないが、それなら自然葬はどうなのかについて、明確な判断、方針等を示していないのは何故か。最近の厚労省行政のあり方を観察すれば、役所仕事の事なかれ主義はあまりにも歴然としている。

 そもそも自然葬は、歴史的に世界各国で鳥葬、風葬等々の先例があり、我が国だけの風潮とか私だけの主張というわけではない。ただかつての鳥葬や風葬が、現代人の感情に適応しているとはいえない。

 その点、「葬送の自由をすすめる会」での自然葬は、故人の意思の尊重はもとよりのこと、一般の人からみても衛生面などで不安を感じさせることはない。

 であるからこそ、発足当初200人ほどの会員であって、特にマスコミ宣伝などを行う余裕もなかったにかかわらず、口コミで伝え聞いた人々が、この会の趣旨に賛同というより、「これを待っていた」とばかりに入会され、またたく間に12000人の会員を数えるようになったのである。

 更に、これも既に会長の論文で指摘されていることではあるが、今後墓地そのものの取得の困難さという問題に加え、その後の墓地の維持というテーマがある。

 土地に関するバブルが弾けたとはいえ、大都市周辺の土地は依然として相当な価格水準にあって、庶民一般が容易に手を出せるものではない。墓地も土地である以上、当然に相応の金銭的負担を伴うからである。

 この経済的負担に耐えられたとして、その墓の維持管理はどうするのかが次の課題である。最近の若い人たちの風潮から考えると、先祖の墓の維持、参拝などということにあまり関心がないように思われる(今年78歳になる私自身が同様な立場である)。

 だからこそ、故人の意思を尊重し、子孫の負担を軽減する自然葬の希望が幾何級数的に増大しているのであろう。

 政府とくに厚労省は、上記のような趨勢をふまえ、旧来の墓埋法の維持に固執せず、自然葬を取り入れた広い意味の葬送の自由を法的に認めるべきである。

 いま国民は、おもに2つの葬送方法を選んでいます。1つは墓(墳墓)に遺骨(焼骨)を納める墓地葬、もう1つは海、山など自然に遺灰(焼骨)を還す自然葬です。ところが葬送のための法律としては、厚労省所管の墓地埋葬等に関する法律(墓埋法)――つまり墓地一辺倒の法律しかありません。

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