「葬送基本法」制定に向けて

自治体の散骨規制の動き

 長沼町、秩父市を除く自治体の散骨規制の動きは次の通りです。


■倶知安町長が自然葬自粛を要請

 北海道・長沼町で散骨禁止条例?制定問題が起きたことに関連して、「ニセコ再生の森」の地元町の倶知安町が会に対して自然葬の自粛を要請してきました。このため、塩崎義郎北海道支部長と渡辺貢一支部役員が7月20日、伊藤弘町長や助役を含めた町側の幹部ら6人と町長室で会い話し合いました。町の要請に対し支部側は「当面は自然葬の予定はない。町の話は本部に伝え8月中旬の理事会で協議する」と回答しました。

 長沼の条例問題が起きて以降、倶知安町議会で「ニセコ再生の森」のことが話題になり、町議会から現地を見たいという申し入れがありました。会は、6月に入って町の関係者に出版物などを含めた資料を送ったうえで、6月24日、北海道支部が町議会、倶知安保健所の担当者らを現地で案内しました。

 塩崎支部長は「ニセコ再生の森で自然葬をしていることは公表している。現地は人里から遠い。価値観の違いを認めてほしい」と理解を求め、保健所も「会の決めたルール通りに行う分には問題ない」などと静観の態度をしめしていました。しかし、7月14日の町議会で伊藤町長が「責任者と面談し対応を協議する」と述べ、自粛要請をすることを明らかにしていました。

 北海道での自然葬は、海では積丹沖、小樽沖、室蘭沖などで、山ではニセコ再生の森を中心に、今年7月末現在で計59回行われ、94人が自然に還っている。97、8年から継続的に行われるようになり、海では28回、56人、山はニセコの30回、37人を含め31回、38人になっている。

 ニセコ再生の森は、広さ1070坪(3524平方メートル)。会は97年にこの森を購入し、毎年4回から7回ほどのペースで自然葬を行なっていまず。
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■北海道・七飯町や長野県諏訪市でも規制の動き(2006年)

 北海道・七飯町や長野県諏訪市で「要綱」や「条例改正」などによる散骨・自然葬の規制が始まったことが新聞報道で分かった。長沼町のような違憲性の強い禁止条例には慎重だが、さまざまな手法で管理しようとする自治体の姿が浮かび上がっている。

 七飯町は、函館市の北にあり、大沼国定公園が展開する観光地。函館のベッドタウンにもなっている。

 4月1日施行の「七飯町の葬法に関する要綱」は6条からなり、散骨・自然葬を「法定外の葬法」と規定し、町内で事業者がこの葬法を提起した場合に備えてつくった。

 町長が事業地から除くよう指導する場所について、学校、病院、身障者施設の境界から110メートル以内、都市公園や自然公園、河川などを上げるほか、隣接市町の境界から500メートル以内などと細かく規定する。それ以外で事業者が計画する場合は地域で説明会を開き、町内会からは総意による承諾書を得たうえで町長に説明することとする。5条ではさらに、町内会などの承諾を得た場合でも、地域関係者以外の不特定多数の町民が拒否したときは、町長はその意思を重視するよう指導するとし、実質的には全面禁止に近い内容だ。

 「要綱」は、法令上の定義はない。これにもとづいて行われる行政運営は「要綱行政」といわれ、もともと法的効力はない。法理論上問題があって、条例など正式な形をとることに自治体が躊躇した場合に多用されている。事務手続きや市民生活に関わる規定だけでなく、市民の権利を制限し義務を課すような規定まであり、自治体関係者の間でも法治主義の見地から批判がある。

 自然葬は基本的人権とかかわる問題で、七飯町のケースはまさにそうした重大な問題をはらんでいるといわざるを得ない。

 諏訪市は、墓地や納骨堂、火葬場の経営許可基準を定めた「墓地等の経営の許可等に関する条例」を改正し、4月に施行した。「散骨場」を対象に加え、事業者は、予定地周辺の自治会に説明会を行い、同意を得た上で市長の許可を受けなければならない。

 諏訪市は、「散骨自体を規制することは、基本的人権に抵触する可能性もある」(1月27日付信濃毎日新聞)として墓地などの許可についての条例を改正することにした、と記者会見で述べている。また、担当者は「『散骨場』の経営体に対して許可基準をつくったものであり、個人の葬送の自由は否定していない」という。

同市では、市内で宗教団体が「自然葬霊場」を設置しようとした問題がきっかけで検討が始まっていた。                               
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■岩見沢市が散骨規制条例を制定

 事業者に許可制、9月施行

 北海道・岩見沢市が9月18日付で、「散骨場」の事業者に許可制を導入することなどを中心にした「石見沢市における散骨の適正化に関する条例」を施行した。市は、ホームページで「散骨は憲法上認められた権利ではあるが、無制限に行われた場合は地元農産物への風評被害が想定されることから基本ルールを定めた」などと述べている。しかし、農業被害の予防を目的にしながら「散骨場」許可の条件に農地との関係を明らかにしていないなど、基本ルールとうたうにしては散骨・自然葬の理解が不足している。

 条例は、第1条で目的を「農業の発展を図ることの重要性にかんがみ、散骨が適正に行われることを確保するために必要な措置を講ずる」ことと述べ、第3条では「散骨場を経営しようとする者は、市長の許可を受けなければならない」と規定している。そのうえで、第7条で「散骨は、散骨場以外の区域において、これを行ってはならない」とし、ただし書きで「次条の規定による届出をした者がその届出に係る区域において散骨を行う場合は、このかぎりでない」として、第8条で事前の届け出を義務付けている。届け出が「条例の目的に照らし相当でない」と認めたときは、変更などの勧告をし、従わない場合は公表する、という内容。

 許可を受けないで「散骨場」を経営した者、「散骨場」の区域の変更、廃止をした者への罰則規定も設けている。また、「散骨場」許可の条件は施行規則で、学校、病院、河川、農地、民家などから500メートル以上離れた場所、などと規定している。

 同市では、かつて長沼町で散骨事業を計画し断念した団体の関係者が土地を購入したことをきっかけに、市議会などの議論になっていた。

 この条例について、当会副会長の薦田哲弁護士は、「制定趣旨で、散骨という行為が『葬送の自由』として憲法上認められた権利ととらえていることは評価できるが、地場農産物への風評被害をいいながら、散骨場経営許可の条件には農地との関係が明らかにされていない。なぜ散骨を禁止するのかが不明で、施行規則にあげられた禁止場所も制度の趣旨との関係で明らかでない。散骨とはどのようなものか十分な理解がないまま過剰な反応になったように感じる」と話している。
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■静岡県・御殿場市が「散骨場条例」

条例などの規制は全国で6自治体に

 静岡県御殿場市は、「散骨場の経営の許可等に関する条例」を、3月に公布、4月1日に施行した。市内で石材業者が涅槃像などを置いた「散骨場」を計画し、住民とのトラブルが起きたことをきっかけに、昨年秋から制定の準備を進めていた。

 条例は19条からなり、事前説明会の開催や境界を接する土地所有者の同意を義務付け、許可申請の前にあらかじめ市長と協議したうえ、事業を行おうとするときには、市長の許可を受けなければならない、などとした点が骨子。市長は改善措置を命令でき、従わないときは許可を取り消す。許可を受けないで散骨事業を行うなどした場合には、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金、とする罰則規定を設けている。

 報道などで明らかになっている散骨そのものや「散骨場」の経営を規制する条例は、これまでに北海道・長沼町、岩見沢市、長野県諏訪市、埼玉県秩父市の4自治体が制定し、北海道・七飯町が部内の要綱を作っている。このうち、長沼町と秩父市は散骨を環境条例の問題ととらえて、墓地以外での散骨を禁止している。岩見沢市、諏訪市は、散骨という行為ではなく、「散骨場」の経営に対する規制で、御殿場市のケースもそれにならっている。

 自由であるべき自然葬を墓地に限定した形の長沼町、秩父市に対しては、会は違憲性が濃厚だ、として条例の撤去を求める請願をしている。


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