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住民運動の情報は、会誌「再生」に掲載されたものです。
日野市の百草山に八王子市の寺が大墓地計画
自然破壊、遺跡破壊につながると住民が反対運動
「明らかに名義貸しによる金儲けが目的」と批判
(会員:峰岸立枝・記)
東京都日野市が「緑地保全重点計画」の対象にしている百草山に、3900区画もの墓地や管理棟を造成する大規模墓地開発計画が2006年5月に明らかになりました。計画を立てたのは八王子市の寺院で、開発面積は16,000平方メートルに及びます。開発が進むと、自然破壊、遺跡破壊につながるとしてさまざまな住民団体が「百草地区墓地問題対策住民会議」をつくり、寺に開発中止を求め、日野市長には開発を認めないよう求める署名運動を起こし、多数の署名が集まっています。市は、新規の墓地開発は認めない姿勢ですが、寺側は7月現在、計画取りやめを求める市の要請に応じていません。住民は、「明らかな名義貸しによる金儲けが目的であり、不動産業者、墓石業者への利益誘導を承知の上での開発」と批判しています。
近くに居住する会員から次のようなレポートが寄せられました。
京王線の下り、多摩川を渡り聖蹟桜ヶ丘を過ぎると初めて、左手に鉄道沿線に近く連なる低い山々が近づき、ほっとする方も多いようです。残された多摩丘陵であり、日野市では七生丘陵の一角、百草山と呼ぶ丘陵です。主に道路に沿って住宅開発が進んだものの、東電学園や京王百草園と公有林・私有林も含めて豊かな自然の姿が残されています。
今までの住民運動と市の努力の結果、緑地部分の公有地が百草園周辺に拡大され、広大な緑地の保全を実現しほっとしました。近年、東電学園の経営上の問題から緑地が失われる危険性が懸念されてきましたが、市民・学園・行政が知恵を出し合って残そうと動き始めたところです。
そこに思いもかけない、市外からの緑地破壊が襲来しました。2006年5月29日、八王子市上柚木にある宗教法人西光寺(曹洞宗、山根道純住職)は、百草山東北部、川崎街道沿いの丘陵部の16,000?の地域に、3,900区画の墓地と地上2階、地下1階の管理棟を造成する「スカイメモリアル百草苑」計画を示す標識を掲示し、「近隣の皆様へ」と題する印刷物が近隣住宅に配布されました。これによると、東京都自然保護条例によって、緑地保存を行い、欧米風の公園墓地を目指し、神仏が一体となった場を作り出し、人々の良心をはぐくみ祖先と皆様の安住の地としたい、などの目的を述べています。しかし、自然保護を唱える曹洞宗の主張に反し、自然破壊は明らかです。
百草山は日野市における唯一といってよいくらい、広大な自然環境が残された貴重な場であり、川崎街道から発せられる排気ガスに対して、有効な緩衝緑地として、生命・健康の維持装置の役割を果たしており、また地球温暖化防止にも貢献しうるまとまった緑地であり、日野市は「みどりの顔」となり、永続的に保全が望まれる地区として、「百草地区」を設定し、広域的観点からも保存すべき価値ある空間として、まちづくり計画に位置づけ、「緑地保全重点計画」として順次、保全のための実現施策を作成し、保全を図って行くとも宣言しています。
今回の計画地は貴重な遺跡地(古代・中世の真慈悲寺跡)の一角を構成しており、将来の国指定遺跡となるべき価値を有する遺跡破壊につながること、大規模墓地の出現は交通渋滞をさらに増大するなど考えられます。
墓地造成による緑地の分断・改変は、以上の自然・文化・交通の面から大きな問題をはらみ、断じて許容することは出来ないとして私たちは、建設主体の西光寺に対して即時計画の撤回を求めるとともに、許認可および行政指導に当たる都や市の諸機関に対して、申請却下や工事中止を求めるよう要請文を届けたり、署名活動などを行なっています。
西光寺は「ゆぎ墓苑」をすぐそばに持ち、メモリアルアート大野屋の大きな墓地利用者募集掲示広告を出すほど空き墓地も沢山有しながら、無縁のこの地に墓地造成をすることは、宗教法人を隠れ蓑にした、明らかな名義貸しによる金儲けが目的であり、コンサルタントや不動産業者、覆面の墓石業者への利益誘導を承知の上での土地開発と考えざるをえないのです。
開発の実現に向けて7月19日西光寺は「近隣説明会」を計画しましたが、主催者が設定した会場は狭いマンションの1室で、参集した43名は入室できず、誠意のあるものではなく、住民側は拒絶した。現在、強行実現の考えを捨てておらず、実現すれば、急峻で複雑な地形ゆえ、防災上問題の発生も予測されます。住民の愛する百草山の痛々しく破壊された丘陵の姿を地元住民や京王線を利用する人の見る光景を想像するに忍びない。 (会員:峰岸立枝・記)
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市も認めぬ大規模墓地開発を強行の構え
東京・日野市の百草山で八王子市の寺院
住民側、許認可権持つ都の対応に不安感
(会員:峰岸立枝・記)
東京都日野市が「緑地保全重点計画」の対象にしている百草山に、3900区画もの墓地や管理棟をつくる大規模墓地開発計画が進められ、住民の反対運動が起きていることは、前号の「再生」62号(2006年9月1日発行)で紹介した。
事業主の八王子市の寺は、住民に強い反対の声が起き、日野市は開発を認めない立場を明らかにしたにもかかわらず、市を相手にした訴訟を起すなど開発に向け強気の構えを維持していることが会員からの以下の寄稿で明らかになった。1万人の反対署名が集まり市議会に提出され、住民から寺側に要請文なども送られているが返事はなく、住民側は、さまざまな手段で市や住民側と対抗し開発を強行するのではないか、と警戒している。
計画を進めているのは、日野市に隣接する八王子市上柚木にある西光寺という曹洞宗寺院で、寺院内に「ゆぎ霊苑」という、仏教であれば宗派を問わない形式の公園墓地を管理している。今年2006年5月、日野市が緑地保全重点地区に指定している百草山の東北部の丘陵部の16,000平方メートルに3900区画の墓地と地上2階、地下1階の管理棟を造成する「スカイメモリアル百草苑」計画を示す標識を掲示し、近隣に印刷物を配布したことによって今回の計画が明らかになった。
住民は、「ゆぎ霊園」には墓所、墓石の販売や墓地造成、葬祭業などを手がける業者の墓地利用者募集掲示を出すほど空き墓地を持っていながら、新たに百草山に大規模墓地をつくることは宗教法人の名義貸しによる開発の疑いもある、とみる。
墓地経営について、平成12年に厚生省生活衛生局長(当時)が都道府県知事や市長宛に出した「墓地経営・管理の指針」という文書がある。バブル経済破綻後、墓地経営の破綻などの事例がふえ、利用者保護の観点から総合的に検討したもので、許可の指針として「墓地経営が利益追求の手段となり、そのために利用者が犠牲になることはあってはならない」「申請者にあっては、周辺住民とのトラブルを回避する観点から、計画段階において墓地設置について理解が得られるよう努めることが望ましい」などと指摘する。
また、経営主体について、墓地の永続性、非営利性を確保するため、「市町村等の地方公共団体原則であり、これによりがたい場合であっても宗教法人、公益法人に限る」との行政指針を示した上で、宗教法人の名を借りて実質的に経営の実権を営利企業が握る「名義貸し」の防止を求めている。名義貸しの事例として、「寺院に石材店などの営利企業が墓地経営を持ちかけ、寺院は企業のバックアップで墓地経営の許可をとる。ところが寺院は墓地販売権をはじめとした経営には実質関与しない取り決めを結ぶ。しかし、企業は使用者とのトラブルについては最終的な責任者は寺だとして責任を回避する」ような例をあげ、この場合もっとも被害がおよぶのは墓地利用者である、と述べている。
こうしたことを防ぐため、行政は「実際に当該宗教法人が墓地経営を行うことができるかを十分に精査する必要がある」「こうした事態が起こるのは、主に宗派を問わない事業型墓地のケースであると考えられることから、いわゆる事業型を認める場合にはより厳格な審査を要する、とするのも1つの方法である」と指摘している。
今後、こうした行政側の対応も注目される。今回の計画は、大規模墓地開発をめぐるさまざまな問題を集約して含んでいる。(編集部:記)
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誠意みられない寺側の対応
反対署名1万筆を市議会へ
峰岸立枝(日野市在住の会員)
2006年9月29日読売新聞の多摩版に、「事前協議申出書受理、仮義務づけを地裁却下―日野の墓地計画」という小さな記事が掲載されました。百草山の墓地造成計画をしている宗教法人が、日野市が開発指導要綱に基づく事前の協議申し出書を受理しないのは違法だとして東京地裁に申し立てました。地裁は「事前協議は法律や条令で義務付けられたものではない」としてこれを却下する決定をした、という内容です。同市はこの開発を認めない方針を出しており、訴訟について「住民に理解を求めることなく、いきなり法的手段に訴えるのは疑問だ」とし、宗教法人側は「コメントは差し控えたい」といっていると記事は記しています。
前回『再生』62号に書いた反対請願署名は約1万筆集まり、日野市議会に提出しました。建設主体の寺に対しても個人や団体で要請文や私信を送りました。事業主の住職には百草山がいかに市民にとって大事であるかということ、業者におどらされ、宗教者として名を汚すような行為はやめていただきたいという誠意を込めた内容でした。これらに対して何の返事もありませんでした。
住民の反対で成立しない説明会
7月19日の説明会を住民側に拒絶された後、次の説明会として8月16日に市民会館七生公会堂で行なうと通告してきました。当日、多くの住民が会場入り口に詰め掛けましたが、事業者に提出した依頼文書に基づき、基本的な疑問について住職に直接対話を要求していましたので会場には入りませんでした。住職 ・副住職、弁護士2人、コンサルタント1人が壇上に、座席には墓地ブローカー1人、石材屋1人のみで説明会らしきものが行われ、7人は知らない間に会場を退出していきました。
8月30日も同様説明会は成立しませんでした。
9月2日「墓苑開発に係る陳情とお願い」という文書が送られてきました。前置きは、墓苑整備事業は第2種特定工作物として公園 ・ゴルフ場などと同じ基準で法 ・条例審査を受ける施設であることを認識して聞くようにお願いする、とあり、次いで、関係する行政協議が未了であるが、寺にとっては浮沈をかけた一大事業であること、日野市は墓地不要との意見もあるが、低廉で良質な墓地を宗派を問わず提供するので、市 ・都民の利益に適うはず、緑地保全 ・文化財保存についても十分に配慮する。当該地は昭和40年代に土砂崩れが発生している。日野市が買収のうえ、防災措置を講ずるとしたら膨大な公費負担は市民に理解を得られるか疑問であるから墓地を造成し、使用者に永代使用料で負担するのが合理的である、という内容でした。
これが1人1人心を込めた手紙に対する返事のようでしたが、受け取ったものは少数で、全員同文で消印は習志野であり、文章はコンサルタントが書いたもののようでした。9月7日に抗議の反論を返しました。
お願い文書に脅かしめいた文言も
その後、一大事業とは、本堂の建設費の捻出であるということがわかりました。また、低廉で良質な墓地を、宗派を問わず提供するといいますが、開発で緑地保全 ・文化財保存をしながら、そのような墓地が提供できるのでしょうか。基礎工事に膨大な費用がかかると考えられるし、宗教法人を利用して群がる弁護士や墓地ブローカーへの利益の分配も大きいでしょう。今年百草谷を流れる水路が涸れるという事態が発生しました。それは拡幅された川崎街道沿いに高層のマンションが建設されたことに原因があったようです。百草山は緑と共に、地域の水がめでもあり複雑な水脈が墓地開発で切断されたらどうなるのでしょうか。蛍も見られなくなるかもしれません。また、墓地の開発が行政や市民にとって財政負担の面でプラスという主張は脅かしめいた文言としか受け取れません。住民は現状のままの百草山を残したいのです。
9月20日に、隣接地権者に設計説明会開催のお知らせが送られてきましたが、その説明会は都条例と、日野市のすみよいまちづくり指導要綱規定に基づく関係者に限定ということでした。これについては当初から地域住民 ・関係権利者と事業主の住職本人の間で誠意を持って話し合い、説明を求めるよう度々重ねて申し入れてきたのに返事がなく、よりどころとしている都条例と市のすみよいまちづくり指導要綱規定説明は対象者や規定が違うので、説明会は認めないとし、また通知人の記載がない、事業者側の出席の記載も、連絡先の記載もなく無責任であることなどから、説明会を行なうことは出来ないとして、この主旨を読み上げて、会場に入らず反対住民は退出しました。
住民の反対請願は、9月27日の市議会委員会の協議を経て、市議会本会議において全会一致で採択されました。そして、9月29日読売東京版の記事に見られるように、西光寺は“墓地弁護士”を使い、市を相手取って法的手段に訴えたのです。
新規の墓地認めぬ条例ができたのに
10月1日より、「日野市緑地の保全及び緑化の推進に関する基本計画」「日野市まちづくりマスタープラン」と積み重ねてきた「日野市まちづくり条例」が施行せれ、「新規の墓地霊園の造成は事業者に、遠慮し見合わせる協力を得る」、「墓地 ・墓苑等については、新規は原則として認めない」とする規定の条例が施行されました。市としては「協力を得る」、「原則として」という限界がありますが、市民の声を活かせるようになったのです。
しかし、事業主の墓地計画反対住民の要望に対する不誠実な対応は続き、住民側も西光寺檀家や同宗派(曹洞宗)への働きかけもしましたが、限界を知らされました。
行政も市民も一緒になって、反対の意思は固いですが、代理人弁護士や墓地ブローカーや土地所有業者による都条例を盾にしたあくなき利益追求の意志は固く、住民側は、都にも要請を出していますが、どちらかといえば都は開発者寄りであると思われました。特に墓地開発認可権を持つ東京都保健所は、手続きさえ整っていれば許可を与えるというスタンスを崩してはいません。地裁の却下判決も、事前協議は法律や条令で義務付けられたものではないということですから、事前協議会を受け付けないことも、事前協議会をやらなくてもいいという解釈も成り立ちます。次は市や住民を相手取り、仮処分の申し立てや本訴訟までして墓地建設を強行するかもしれません。
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百草山の墓地問題、都議会で論議
いまだ寺の所有でない開発予定地峰岸立枝(日野市在住の会員)
東京都日野市の百草山と呼ばれる森で、市が開発を認めない立場を明らかにしているにも関わらず昨年5月から進められている大規模墓地開発計画については、これまで反対する住民団体の報告を紹介したが、その後の都議会への請願や開発主体の寺院側に対する申し入れなど、新たな詳しい経過が寄せられ た。
◇都議会での審議
反対運動の住民団体は、昨年11月20日に、「西光寺の大規模墓地開発中止指導上申書」を東京都知事や都市整備局市街地整備部長宛で提出した。また、計画 中止を求める請願は、10月4日に受理され、11月27日に都議会厚生委員会で審議された。当日の請願審議は7件中4件が墓地開発に関するものだった。まず都側が、請願の趣旨を説明した。また、現時点では許可申請書は出されていないが事前手続きの標識は設置されたこと、近隣住民への説明会が開かれたが住 民の出席は得られていないこと、保健所には市の条例があるから、十分協議、調整するよう指導していること、などの報告があった。
これに対し、委員から「墓地が簡単に造成されるのは平成12年の墓地条例改正の際の『市町村の意向を配慮する』という付帯決議の趣旨が反映されていないた めでは」との質問があった。都側は、「保健所には申請予定者に対し地元と十分協議・調整するよう指導している」と回答した。
委員からは、「地元の賛成が得られなければ不許可という方向で対応していくのが都のとるべき道である」という要望述べられた。
別の委員の質問に移り、「厚生労働省の墓地経営、管理の指針の中では、許可権が事前に開発予定者と相談・協議すると定められているが、都は当該開発事業者 と事前の相談、協議をしているのか」と質問した。都側は、「標識設置前の昨年年4月から数回、事前相談があり引き続き行なっている」と答えた。
委員は、「都は直接市の意向を伝え、撤回を求めるのが都のとるべき態度ではないか」と求めた。
また、委員は「厚生労働省は指針で土地の所有を重視しているが、現時点で申請予定者が土地を所有しているのか」と質した。都側は、「土地は所有していないので自己所有をするよう指導している」と回答した。
これに対し委員は、「事前協議や標識を設定した段階で自己所有していないのでは、名義貸し疑惑がもたれるのも当然で、日野市議会と市の意向に沿って都は対応すべきだ」と主張した。討論の後、委員会は継続審議と決定した。
◇曹洞宗への要請
曹洞宗宗務庁へは昨年12月8日、「西光寺の大規模墓地開発中止指導を求める要請書」を持参し、総務部福祉課と折衝した。福祉課は、「墓地造成で失敗し 経営困難に陥る寺の事例が全国的にあり、西光寺の問題も心配している。事業中止の指導説得の要請は上部に伝えて西光寺にも指導していただくが、指揮・命令 権がなく限界がある」と述べた。
西光寺の檀家役員及び西光寺近隣住民へ無謀な開発計画に進まないよう働きかけていただきたい旨のお願いのチラシを配布した。1月12日、檀家総代を訪問 したところ、墓地開発のことは心配しており、趣旨は正確に寺に伝えるが、自分として「止めよ」とは言えないという話だった。
◇南多摩保健所で確認
昨年12月15日、南多摩保健所で、?標識設置の届出の書類、?説明会報告書に関する書類、?意見申出書の書類、?事前協議報告書の書類の情報開示を申し込む。
標識設置の届出は昨年5月30日で、4個所。
説明会については、1回目、説明会実施不能のため散会、2回目、会場に公聴対象者がないまま挙行、3回目、会場内で説明する、と入場を促すも全員拒否、続行が困難なため散会、4回目、入場を促すも全員拒否、説明会の続行が困難なため散会、と記されている。
開発予定地の地権者は、都議会で明らかにされたように申請予定者の所有とはなっていない。
?の意見申出書、?の事前協議報告書は非開示で、理由は不存在のためとなっている。