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特別合同自然葬のレポート

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記念艦「三笠」と「シーフレンド」と

――春の特別合同自然葬に参加して

辻田功(会員・コラムニスト)

 集合場所の横須賀「みかさ公園」に近づくにつれ、あの威容を誇る軍艦「三笠」が、鉛色に迫ってきた。私がこの艦を見るのは、これが3度目である。昭和17年(1942年)の夏、父に連れられて見学したのが最初で、軍艦そのものだった。次が昭和24年(1949年)春の遠足で訪ねたのだが、なんと大砲がはずされて横に転がっているし、艦内のホールにはペンキが塗りたくられていた。進駐軍がダンスホールに使用したとの記録もある。そして今回はもと通りの姿。

 軍艦「三笠」は、明治の日露戦争の折に連合艦隊の旗艦でトン数は1万5140トンである。日本海海戦大勝利のシンボルだったため、この地上に永久保存されているものなのだ。横の噴水広場には、艦隊の司令長官だった東郷平八郎元帥の銅像も建っている。

 さて、この歴史的モニュメントを横に見ながら、遺族の方々や立会いのスタッフが、海への自然葬を実施するために、双銅船「シーフレンド」に乗りこむ。この船は19トン。鉛色の元軍艦の横をすり抜けるようにして、われわれは観音崎の沖をめざした。空は午前中ほどの青空ではなかったが、波もなく快適に目的の海域に到着する。

 今回の合同葬で自然に還る方は11人、会の立会いの人のアドバイスで、名字の音順に、それぞれのご遺族が大切に持参した遺灰と花を、船尾から海面に投下していくのである。

 私は文字通り見学者として、ごく客観的にドラマの経過を見るようなつもりだったのに、最初の 遺灰が投下されて白い包み紙が破け、白い遺灰が海中に広がるのを目にしたとき、正直こみあげるものがあった。ああ、この人はいま本当に自然に還られたのだなと、しみじみ感じたからである。なんという自由、なんという解放なのだろう……。まるで私自身が白い粉になって散っていくような錯覚さえ覚えるのだった。

 海中に消えゆく遺灰に向けてウクレレを爪弾くひと、目頭をぬらして波間を見つめるひと、さよならーと声にするひと。遺族の方々は、それぞれに実感のこもる表現であった。

 船が元の港に近付くと、巨大な永久保存のモニュメントが、再び目の前にせまってきた。自然葬を終えた「シーフレンド」は、まるではにかむように、小さな埠頭に接岸した。


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海の模擬自然葬に50人が参加

9月3日、観音崎沖で初の試み

事務局(西田真知子)

 自分の死後、会員であるだけでは自然葬を実施できない。生前に「本人用自然葬契約」をしておくことが必要だと知りました。そこでそろそろ契約もして置こうと思っていた矢先、模擬自然葬の体験乗船会の募集がありました。初めての試みです。入会した9年前から、自分の死後は海に自然葬をしたいと希望していました。しかし、どこの海でどのように行われるのか、自分の自然葬ならなおのこと分かりませんから、良い機会なので参加したいと思い早速申し込みました。

 当日は送ってもらった地図を片手に、品川から京浜急行の快速特急に乗り45分、横須賀中央駅で下車、集合場所は駅から歩いて15分くらいの「軍艦三笠」が置いてあるみかさ公園でした。受付で資料をもらい、船に案内されいよいよ出港になりました。船は貸し切りで2階建て定員80人という観光船でした。今回の参加者は申し込んだ先着50人の会員でした。

 船は横須賀の港をあとに滑るように進んでいきます。程なく左手に猿島という島が見えてきました。めざすは観音崎沖とのことです。

 船に乗ってから私はこんなことをイメージしました。それは、これから行われるのは私の自然葬で、私を見送る遺族が集まってくれたのだ、ということです。

 50分ほどで船は観音崎のそばまで来ました。いよいよ始まります。参加者が多いので前半、後半に分かれて模擬自然葬を体験します。私は後半で参加することになりました。

 立会いの方の挨拶は、故人を見送る思いのこもったもので、頭では模擬だと分かっているのに、思わず胸がいっぱいになりました。事前にもらっていた水溶性和紙に包まれた模擬遺灰を海に次々と投げ入れていきます。紙はすぐに溶けて沈んでいきました。手を合わせていると、そのあと、色とりどりのお花が撒かれました。

 弔鐘が鳴り黙祷をしました。私の家族や友人の一人ひとりの手によって、海に還った私の遺灰はすべてから解放されて自然に戻るのだと思うと不思議な心の安らぎを覚えました。

 感激に浸っていると、船は撒かれたお花のまわりを大きく3回旋回して、その下に沈んだ遺灰にお別れをしました。こうして自然葬は終わりました。帰港する船のあとをカモメがいつまでもついてきたのが心に残りました。

 今回の経験を生かして、来月のわたしの誕生日に自分のための自然葬契約をすることにしました。

 また、模擬自然葬の体験会は今後も行われるとのことなので、自然葬契約をまだしていない知人に参加することを薦めようと思っています。


 会は、自然葬がどのように行われるか知りたいという声にこたえて今回初めて、海の模擬自然葬を9月3日、東京湾の観音崎沖で行いました。希望者が多く参加できない人もいました。機会をとらえてまた実施したいと考えています。報告は、自然葬担当の西田真知子さんが、参加者数人のお話を元に1人称形式でまとめました。


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